研究課題/領域番号 |
17591779
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
渡邉 行雄 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (10108037)
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研究分担者 |
将積 日出夫 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (60187507)
梅野 克身 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (90086596)
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キーワード | 双極子追跡法 / 機能的近赤外分光法 / 前庭刺激 / 脳高次機能 |
研究概要 |
前庭刺激による大脳皮質の活動を明らかにすることを目的に、全頭型NIRS測定装置(島津製作所OMN-3000)および脳波計(Biosemi社)を組み合わせ、caloric vestibular stimulation(CVS)時の酸素化(OxyHb)・脱酸素化ヘモグロビン(DeoxyHb)濃度および脳波の同時計測を行った。成人男性被験者5名に全頭型NIRS(108ch)および脳波(32ch)測定用キャップ(島津製作所製)を装着した。実験は閉眼下に行い、CVSは全員右耳に行った。測定は、対象刺激として37℃のCVSを1分間、休止期間4分間の計5分間、冷温刺激として24℃のCVSを1分間、休止期間4分間を各1サイクルとした。対象刺激と冷温刺激のCVSを各5〜6サイクルずつ行った。被験者がCVSによって前庭感覚を自覚した際には、その開始と終了時にボタンを押すように指示した。脳波以外に水平方向の眼球運動及び心電図を記録した。 NIRS測定では、脳の広範な領域で冷温刺激開始後数分持続する血流変化が認められた。頭頂部、側頭部の血流反応は刺激後OxyHbが上昇する傾向が認められた。前頭部では刺激直後後OxyHbが減少した後上昇する2相性パターンを示す被験者が多く観察された。後頭部では一定の傾向が見られなかった。次にGeneral Linear Modelを用いた脳賦活の統計検定を行った。被験者5人中4人以上に共通して有意な血流変化が認められた部位は、右前頭葉弁蓋部及び中前頭回周辺、右頭頂葉周辺、左縁上回周辺など、脳の広範な領域に認められた。脳波解析に関しては、CVSの場合、冷温刺激による嘔気症状のため頻回に行なえず5〜6サイクルが限界であったこと、冷温刺激の開始から刺激が消失するまでの時間が長く続くこと、等の理由から、加算平均法による解析ができなかったため、周波数解析的アプローチを検討中である。
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