平成17年度1.EBV LMP1は細胞内FGF-2蛋白の局在を変える作用がある。LMP1を発現させた上皮細胞ではFGF-2蛋白が増加し、核および核周辺に局在するだけでなく、細胞質、特に細胞末端部に多く発現を認める様になった。2.FGF-2蛋白とLMP1はエンドソーム構造で共局在する。LMP1とFLAG標識-FGF-2蛋白を強制発現させたものでは、細胞質および細胞膜下に点状に共局在する事が判明した。3.18-kDa型FGF-2蛋白はエクソソーム内に存在する。ウエスターンブロット法によりエクソソーム内に18-kDa型FGF-2蛋白が存在する事を確認した。4.共局在するLMP1および18kDa型FGF-2は、エクソソームを経由して細胞外に分泌される。エクソソームに含まれると想定されたLMP1および18kDa型FGF-2を異なった大きさの金粒子で標識し、電子顕微鏡的に局在を調べた。その結果、いずれの蛋白もエクソソーム内で共局在することが判明した。5.LMP1ほエクソソームの細胞外放出を促進する。LMP1陽性細胞から採取した培養液では、HSC70が増加しており、LMP1はエクソソームそのものの放出を促進する可能性が示唆された。LMP1がエクソソームの分泌増かを介して、間接的に18kDa-FGF-2蛋白の分泌を促進している可能性が示唆された。 成18年度以降1.LMP1によるFGF-2分泌促進機構におけるNa/K-ATPaseの役割に関する検討。LMP1陽性細胞ではNa/K-ATPaseがLMP1およびFGF-2と共局在することが判明した。2.FGF-2を含有するエクソソームが血管新生能を有するか否かに関する検討。血管新生能についてはHUVECによるBrdU取り込み能により評価した。その結果、BrdU取り込み能はエクソソーム振り掛けによる刺激により増強された。
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