研究概要 |
本研究で,BLySがCD40非依存性に免疫グロブリンのクラススイッチを誘導することを証明した。鼻粘膜においてもBLySは重要な働きをしていると考えられる。アレルギー性鼻炎はIgEを介した代表的なI型アレルギーで、鼻茸においてもIgEの重要性が報告されるようになった。鼻粘膜組織においてもBLySが発現していることから,BLySによる細胞内シグナル伝達,生体内で生じる共刺激などを検討した。IL-4誘導Igクラススイッチ定量が可能であるGFP発現ベクターを用いた実験で,BLySが濃度依存性にIL-4誘導Igクラススイッチを起こし,p38 mitogen-activated protein kinase(p38 MAPK)シグナルの阻害剤であるSB203580で濃度依存性に抑制された。ヒトB細胞において,IL-4存在下にBLySはAIDの発現誘導とIgEクラススイッチが観察された。SB203580でIL-4とBLySによるIgEクラススイッチが強く抑制された。BLySはヒトB細胞においてp38 MAPK及びc-Jun N-terminal kinase(JNK)のリン酸化を誘導した。BLyS(B lymphocyte stimulator)がヒトの鼻粘膜線維芽細胞から産生されること,ヒト抹消血において,IL-4とCD40架橋によるIgE産生がBLySの中和抗体によって一部抑制されることを証明した。 鼻由来線維芽細胞におけるEotaxin産生は、polyI:C単独刺激時においては変化を認めなかったが,polyI:Cは、IL-4によるEotaxin産生を有意に増強した。IL-4単独,IL-4とpolyI:Cの共刺激によるEotaxin産生における特異的阻害薬を用いた検討では,IL-4単独刺激によるEotaxin産生は,U0126で有意に抑制され,IL-4とpolyI:Cの共刺激によるEotaxin産生は,SP600125,U0126で有意に抑制された。さらにIL-4刺激による鼻線維芽細胞からのEotaxin産生量は、SOCSの発現量に影響をされることがわかった。
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