1)ラット内耳におけるKCNE/KCNQカリウムチャネルの構造解析 生後4-6週齢のラットを用いて、免疫染色法やin situ hybridization法を中心とする形態学的な解析により、ラット内耳に発現しているKCNE/KCNQカリウムチャネルの発現およびその局在する部位を検討した。その結果、KCNE1の蝸牛血管条での発現とKCNE3の内リンパ嚢での発現を確認した。また、ラット内耳より抽出したmRNA・cDNAを用いて、RT-PCR法やreal time PCR法などの分子生物学的な手法により、内耳に発現するKCNE/KCNQカリウムチャネルの各サブユニットを検討した。その結果、蝸牛ではKCNE1-3、内リンパ嚢ではKCNE3の発現を確認した。 2)メニエール病ゲノム中のKCNE/KCNQカリウムチャネル遺伝子の解析 厚生省前庭研究班の診断基準からみたメニエール病確実例から、十分なインフォームド・コンセントの後、静脈血を採取してゲノム抽出を行う。KCNE1/KCNE3カリウムチャネル遺伝子の塩基配列から、それぞれの遺伝子に特異的なプライマーを作成してPCR法によりその蛋白コード部分の全長を増幅し、増幅された遺伝子断片を回収した後、直接シークエンス法によりその塩基配列を決定して遺伝子変異の有無と遺伝子上の一塩基置換(SNP)について解析を行った。その結果、KCNE1遺伝子上に、112Gホモ、112Aホモ、112G/Aヘテロの3種類の遺伝的バリエーションを、KCNE3遺伝子上に198Tホモ、198Cホモ、198T/Cヘテロの3種類の遺伝的バリエーションを同定した。
|