遺伝子上に同定される一塩基変異(single nucleotide polymorphisms;SNP)とメニエール病の発症およびその臨床症状との相関を検討する目的で、同患者ゲノムにおけるKCNE1、KCNE3遺伝子のSNP解析を行った。メニエール病確実例63名および非メニエール病者(対象群;KCNE1遺伝子については237例、KCNE3遺伝子については211例)から抽出したゲノムにおいてそれぞれのSNPがどのような比率で存在するのかを決定した。 [KCNE1遺伝子]メニエール病確実例63例の解析において、112Gホモが28例、112Aホモが8例、112G/Aヘテロが27例であった。非メニエール病群237例においては、112Gホモが192例、112Aホモが20例、112G/Aヘテロが25例であった。112Aを少なくとも一つのアリルに有する割合は、メニエール病群において統計学的に有意に高かった(P<0.001)。 [KCNE3遺伝子]メニエール病確実例63例の解析において、198tホモが52例、198Cホモが3例、198T/Cヘテロが8例であった。非メニエール病群211例においては、198Tホモが196例、198Cホモが4例、198T/Cヘテロが5例であった。198Cを少なくとも一つのアリルに有する割合は、メニエール病群において統計学的に有意に高かった(p=0.0015)。 KCNE1遺伝子上の112ASNPおよびKCNE3遺伝子上の198CSNP、これら2種類のSNPがメニエール病の発症に何らかの遺伝的背景を与える可能性が推察される。
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