研究課題/領域番号 |
17591794
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
倉富 勇一郎 佐賀大学, 医学部, 助教授 (30225247)
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研究分担者 |
佐藤 慎太郎 佐賀大学, 医学部, 助手 (50304910)
門司 幹男 佐賀大学, 医学部, 助手 (90380782)
木寺 一希 佐賀大学, 医学部, 助手 (20343337)
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キーワード | ラミニンγ2鎖 / 頭頸部癌 / 腫瘍マーカー / 浸潤 / 転移 |
研究概要 |
佐賀大学医学部附属病院耳鼻咽喉科にて入院加療した73名の頭頸部癌(扁平上皮癌)患者について、血清中のラミニンγ2鎖N末端フラグメントの濃度(LNγ2鎖濃度)を測定し、以下の結果が得られた。 1)血中LNγ2鎖濃度は14.5〜324.2ng/mlにわたっており、正常上限は50ng/ml程度であることが推測された。 2)25例(34%)では血中LNγ2鎖濃度が正常上限を超えて上昇していた。 3)原発巣部位による血中LNγ2鎖の濃度差はみられなかった。 4)原発巣進行度と血中LNγ2鎖濃度に相関がみられ、T4症例の濃度は有意に上昇していた。 5)頸部リンパ節転移進行度と血中LNγ2鎖濃度には相関がみられなかった。 6)臨床病期進行度が進行するにつれて血中LNγ2鎖濃度が上昇する傾向がみられたが、統計学的有意差はなかった。 7)治療前の血中LNγ2鎖濃度が正常上限以下の症例では、治療に伴う濃度変化はほとんどみられず、治療後も正常上限以下であった。 8)治療前に血中LNγ2鎖濃度が異常高値を示した症例では、根治治療による腫瘍消失に伴い治療後の渡度は正常範囲に低下した。 9)末期癌状態となった3例では血中LNγ2鎖濃度が100ng/mlを越えて著明に上昇し、その後原病死した。 以上より、血中LNγ2鎖濃度は主に原発巣におけるLNγ2鎖発現陽性な癌細胞の総和を反映すると考えられ、治療の奏効度や進行・再発などの臨床的経過を評価するマーカーとして有用であることが示唆された。
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