研究課題/領域番号 |
17591797
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
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研究分担者 |
藤原 啓次 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (80326371)
田村 真司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10244724)
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90336892)
山内 一真 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (80336891)
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キーワード | 中耳炎 / 肺炎球菌 / ペニシリン耐性 / マクロライド耐性 / 分子生物学 |
研究概要 |
小児急性中耳炎、遷延性中耳炎の起炎菌における薬剤耐性化および薬剤耐性遺伝子について検討を行った。 方法: 肺炎球菌において、ペニシリン結合蛋白遺伝子(pbpla、pbp2x、pbp2b)における遺伝子の変異およびマクロライド耐性遺伝子(emAM、mefE)の発現をPCR法により検討し、また、インフルエンザ菌における薬剤耐性化についてはβ一ラクタマーゼ産生およびペニシリン結合蛋白遺伝子(pbp3)の変異についてPCR法により検討した。さらに、これらの薬剤耐性遺伝子の検索と従来から用いられている微量液体希釈法およびDisk法による薬剤感受性検査との比較検討を行った。 研究結果: 1)ペニシリン耐性肺炎球菌およびマクロライド耐性肺炎球菌 小児急性中耳炎患児の鼻咽腔から採取した肺炎球菌866株についてペニシリン結合蛋白遺伝子(pbp)の変異を検討した結果、245株(28.3%)において遺伝子変異は認められなかったが、333株(38.5%)でpbp1a,pbp2b,pbp2xの3遺伝子の変異が認められ、78株(9%)に2遺伝子変異が、245株(28.3%)において1遺伝子変異が認められた。さらに注目すべき成績は全体の94.5%に当たる656株において、セフェム系抗菌薬に対する低感受性を示すpbp2x変異株が検出されたことである。 一方、マクロライド耐性肺炎球菌に関しては、mefEおよびermB遺伝子の発現を検討したところ、30%がいずれの耐性遺伝子も発現していなかったが、32.5%がmefEを、34%がermBを発現しており、さらに3.4%(28株)において両方の遺伝子発現が認められた。 2)インフルエンザ菌における遺伝子変異 小児急性中耳炎患児の鼻咽腔から検出されたインフルエンザ菌について薬剤感受性に関係する遺伝子の検討を行ったところ、bla遺伝子の発現は4.7%に、ftsI遺伝子(gBLNAR)は23.3%に発現していた。 以上の結果から小児急性中耳炎の起炎菌である肺炎球菌およびインフルエンザ菌において高率に薬剤耐性化が進行していることが判明した。
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