研究課題
運動神経軸索誘導のための標的筋へのエレクトロポレーションによる遺伝子導入神経支配される筋から分泌される神経栄養因子等により、軸索が標的筋に向かって誘導されるという、Target derived neurotrophic factorの概念を遺伝子治療に応用するため、ウイルスを使用しないために臨床応用が容易である、エレクトロポレーション法を用いた甲状披裂筋への遺伝子導入の検討を行った。ニュージーランドラビットを用い、まず至適電圧条件の設定を行った。次に、至適電圧条件下で、遺伝子発現期間について検討した。遺伝子発現は導入後1日目から見られ、5-10日目にピークに達し、14日目で減弱し、その後消退した。遺伝子発現強度は、エレクトロポレーションを行わないプラズミド注射のみに比べ、飛躍的に増大した。これらの予備実験の結果から、標的器官である甲状披裂筋に、再生軸策の誘導に充分な神経栄養因子を充分な期間にわたり、発現させることができると考えられた。疑核における内在性神経幹細胞についての検討疑核における内在性神経幹細胞の存在について、神経幹細胞あるいは神経前駆細胞の選択的マーカーであるNestinの遺伝子第2イントロン内の、同細胞に選択的に働くエンハンサー制御下にGFPを発現させるトランスジェニックラット(Nestin-GFPラット)を用いて検証した。同ラットの左迷走神経に、頚静脈孔付近で損傷を加え、反回神経麻痺モデルを作成。一定期間生存させた後に脳幹を摘出し、疑核の切片を作成し、GFP陽性細胞を観察した。迷走神経損傷から2日から30日後の患側の疑核において、GFP陽性細胞が認められたが、健側の疑核においては、GFP陽性細胞は認められなかった。神経損傷後の運動神経核において、神経幹細胞あるいは神経前駆細胞のような、幼若な神経系細胞が出現する可能性があると考えられた。
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