研究概要 |
近年、内耳蛋白遺伝子COCHの存在が解明された結果、内耳蛋白はCOCH遺伝子由来の内耳特異的な蛋白と全身に共通な内耳非特異的な蛋白とから構成されていることが判明した。内耳自己免疫病は発症時には他の自己免疫疾患を合併しない内耳特異的な疾患とされている。従って、内耳自己免疫病(自己免疫性迷路炎)モデル動物開発研究には内耳特異的な抗原の採取が必須である。本研究の初年度にはSDS可溶性内耳蛋白をWhole Gel Eluter装置を用いて、分子量別に30分画した。各分画蛋をマウスに感作して、内耳抗体産生の有無をウェスタンブロット法を行い、それら分画の内耳抗原性を検討した。初年度の平成17年度は分画3,4,5,6,7,8,9,11,12,17,18,20,21,22の動物感作実験を行った。18年度には残りの分画1,2,10,13,14,15,19,23,24,25,26,27,28,29,30の動物感作実験を行った。その結果、分画5,6,7,8に66kDaの明瞭な陽性プロット発現が観察され、これらの分画蛋白を感作した動物の蝸牛血管条血管壁にIgGおよびC3の沈着を認めた。分画5,6,7,8での蛋白のプロテオーム解析では、これら分画の蛋白はCOCH遺伝子由来の蛋白であることが判明した。また分画3,18,22,24分画の感作動物血清に淡いプロットの発現を認めた。現在、分画3,18,22,24分画蛋白のプロテオーム解析を予定し、またこれら分画感作動物の内耳へのIgGおよびC3の沈着の有無を免疫組織学的に検討中である。
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