網膜の錐体細胞は、吸収波長特性により区別され、霊長類やヒトでは青、緑、赤の3種類の錐体が存在する。このうち青錐体は、錐体全体の10%以下を占めるにすぎず、形態覚に関わるachromatic channelには信号を送らずchromatic channelのみに関与して色覚を担っている。また生理学的および生化学的にも赤錐体、緑錐体とは大きく異なる特性を有していることが知られている。臨床的にも各種の網膜疾患における青錐体の選択的脆弱性が報告され、その動態が注目されているが詳細についてはほとんど明らかにされていない。一方、家兎やマウス、ラット等では、緑、赤錐体が分化しておらず、青錐体と緑錐体のみが存在することが知られており、各々の錐体が網膜内で特異な分布を示している。 今年度は、家兎眼用に開発した青色(430nm)LED内臓コンタクトレンズ電極を用いて、家兎眼における青錐体系ERGの正常反応の記録を行なった。このコンタクトレンズ電極には、背景光として白色のLEDと、刺激光として青色LEDが組み込まれており、LED電極発光駆動装置によって、発光強度や時間を制御する。また電極には光を散乱させるためのレンズも組み込まれており、全視野刺激に準じた刺激条件が得られる。コンピューターから刺激のトリガーを出し、記録は100〜200回おこなって加算平均した。得られた波形の解析は誘発電位研究用のソフトを用いて行なった。 また網膜変性臨床例において網膜電図の動態の検討を行い、参照資料とした。
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