プロスタグランジン関連薬であるラタノプロストは、眼圧下降薬として広く用いられているが、その眼圧下降作用には個人差があることが知られている。現時点では何が個人による眼圧下降作用を規定しているかは明らかではない。そこで、我々は健常人を対象に、ラタノプロスト点眼による眼圧下降作用と、ラタノプロストに高い親和性を持つプロスタグランジンFαレセプター(FPレセプター)遺伝子の多型(Single Nucleotide Polymorphism : SNP)に関連性があるかどうかを検討した。 FPレセプター遺伝子のSNPを主にダイレクトシークエンスにより探索し、タイピングした。その結果10個のSNPが検出された。健常人100人に対して、ラタノプロストを片眼に1日1回7日間点眼し、7日後の眼圧下降率を他眼を対照として算出した。眼圧下降率はFPレセプター遺伝子のプロモーター領域のSNP(rs3753380)において、C/Cホモの眼圧下降率は20.3±1.5%(平均±標準誤差)(n=52)、Tキャリアー(C/T+T/T)は15.6±1.2%(n=48)と有意な差があった(P<0.05)。他の多型に関しては遺伝子型と眼圧下降率に有意な関連はみられなかった。しかし、眼圧下降率により被験者をロー-、ミディアム-、ハイ-レスポンダーと分類し、各遺伝子型と解析すると、第一イントロンにあるrs3766355と眼圧下降作用の間にも関連性が見出された。また、FPレセプター遺伝子のプロモーター領域を、ホタルのルシフェラーゼ遺伝子の上流に連結し、レポーターアッセイを行った。その結果、rs3766355がCでrs3753380がTであると、ルシフエラーゼの活性が低下した。 以上より、FPレセプター遺伝子のプロモーター(rs3753380)と第一イントロン(rs3766355)の多型がラタノプロストによる眼圧下降の個人差を引き起こす一つの要因である可能性が示唆された。
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