研究課題/領域番号 |
17591830
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田辺 晶代 京都大学, 医学研究科, 講師 (80243020)
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研究分担者 |
吉村 長久 京都大学, 医学研究科, 教授 (70211662)
出澤 真理 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50272323)
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キーワード | 骨髄間質細胞 / 移植 / 網膜神経節細胞 / 神経保護 / 緑内障モデルラット |
研究概要 |
今年度は緑内障モデルラット眼に対する未分化骨髄間質細胞移植効果について検討することを目標とした。緑内障モデル眼、および正常眼の硝子体中にGFP標識未分化骨髄間質細胞を注入、注入後1w〜8wで眼球を摘出、flat mount retinaおよび凍結切片にて移植細胞の生着部位、期間、細胞分化について組織学的に検討した。移植細胞は、正常眼に比較して緑内障眼でより多く網膜に生着する傾向が認められ、移植後1週間以降、網膜内境界膜(ILM)表面および、網膜神経節細胞層(GCL)に限局して存在したが、移植後8週間でほぼGFP陽性の移植細胞は認められなくなった。移植のもうひとつのターゲットである視神経乳頭部には移植細胞は認められなかった。視神経移植細胞の神経幹細胞、ニューロン、グリア、網膜神経節細胞への分化については各種のマーカーを用いた二重免疫染色法にて検討した。GCLに局在している移植細胞には神経突起様の所見が認められるものもあったが、今回用いたマーカーに対する陽性細胞はなく、移植細胞の分化を示す所見はえられなかった。また、近年話題となっている骨髄間質細胞とホスト細胞のFUSIONの可能性について、雌緑内障ラット眼に雄GFP標識骨髄間質細胞を移植し、Y chromosomeに対するfluorescent in situ hybridization (FISH)法にて検討を試みたが、移植効率、技術的問題より今回は検討できなかった。次に骨髄間質細胞移植によるホスト網膜、視神経乳頭部の組織の再構築、炎症、細胞異常増殖など組織学的変化をパラフィン切片にて検討した。凍結切片にて観察された所見と類似してホスト網膜のGCL付近に細胞が集積している所見が認められた。また局所的に、網膜神経節細胞(RGC)数の増加や網膜神経線維層(NFL)の肥厚が観察された。組織学的に網膜神経節細胞保護作用が示唆されたために、DiI retrolabelingにより網膜神経節細胞死について定量的に解析した。移植後4wで骨髄間質細胞移植緑内障眼ではPBS注入緑内障眼に比べて、有意にRGCの細胞死の遅延が認められ、骨髄間質細胞移植により緑内障眼における網膜神経節細胞保護効果が期待できることが示唆された。
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