研究概要 |
1)黄斑下手術で採取した新生血管膜内には多数のマクロファージを認めたが、その一部に動脈硬化に重要とされる主要なスカベンジャー受容体のクラスA受容体(SR-A)陽性細胞を認めた。加齢黄斑変性症以外の新生血管膜にも同様の所見を認め、新生血管進展に寄与する可能性が示唆された。 2)野生型及びLOX-1遺伝子欠損(LOX-1 KO)マウスで、レーザー誘導脈絡膜新生血管誘導モデルを作成した。野生型ではレーザー照射後RNAレベルでのLOX-1の誘導を確認した。またマトリクスメタロプロテアーゼ前駆体の発現上昇と活性化を認めたが、LOX-1 KOマウスでは前駆体発現及び活性化が抑制されていた。さらに照射2週間後には野生型では93%に新生血管を認めたが、LOX-KOでは43%に減少していた。以上よりLOX-1が新生血管の形成過程で主要な役割を果たしている事が示唆された。 3)ラットレーザー誘発脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作製し、高脂血症、動脈硬化でのプラーク形成に抑制効果のあるHMG-CoA還元酵素阻害薬(ピタバスタチン)のCNVへの効果について検討した。ピタバスタチンの前投与により、レーザー照射部位の蛍光漏出、CNV面積は優位に低下していた。CNV厚も投与群で薄い傾向があり、ピタバスタチンは実験的CNVを抑制する効果があることが示唆された。 4)白内障手術時に採取したヒト前房水を2次元電気泳動にてゲル上に展開し、銀染色にて得られたスポットを質量分析計(MALDI-TOF-TOF)にて蛋白質の同定を行った。網羅的同定を行い、少なくともalubmin, alloalubmin, transferrin, apolipoprotein, vitamin D binding protein, transthretin, antitrypsinが主要タンパク質として同定された。
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