研究概要 |
本研究の目的は、加齢黄斑変性とポリープ状脈絡膜血管症(PCV)において、眼球の解剖学的な特徴、特にブルッフ膜に着目しその異同点を明らかにすることにより、PCVの病態を解明し、治療法を探索することである。 その手がかりとして、先ず、PCV患者における脈絡膜循環動態をインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査所見をもとに検討した結果、拍動するポリープ状血管がPCVに特異的な現象であることを明らかにした。また、その頻度や拍動の様式のパターンを検討し、拍動の発生には、黄斑部における脈絡膜血管の構築の特異性や、動脈硬化が関与していることを示唆した(Okubo et al. Ophthalmology. 112:1436-41,2005)。 また、PCVの治療法についてはまだ確立されていないが、従来のレーザー網膜光凝固の他、欧米では光線力学的療法などが試みられている。また、欧米では、加齢黄斑変性などの網膜疾患に非水溶性ステロイドであるトリアムシノン(TA)の硝子体やテノン嚢下注射を行うことによって視力の維持および病巣縮小の効果が期待されていることから、先ず、日本人の加齢黄斑変性に対するTAの効果を評価した。その結果、日本人においても欧米人における効果と同等の効果が得られることが明らかになった(Ito et al. Ophthalmologica in press)。次に、PCV患者についてTAを硝子体やテノン嚢下注射を行ったところ、ポリープ状血管からの漏出が減少し、視力の回復が得られた(Okubo et al. Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol.243:837-9)
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