研究の目的:久米島町における緑内障を中心とする眼疾患の有病率、病態、失明原因を明らかにし、最適な診断法、治療法、さらにその予防法を確立する。 研究実施計画と経過:平成17年5月~平成18年9月に、沖縄県久米島町で緑内障を中心とする眼疾患の有病率、失明原因を明らかにするために眼科検診を兼ねた疫学調査を行った。参加率は40歳以上の島民4632名中3762名で、受診率は81.2%であった。参加者は眼疾患の有無を確認する1次検査と診断確定のための2次検査を行った。また最新の眼科検査機器による眼のバイオメトリーを行い、眼疾患との関係を調査した。 結果:まず翼状片有病率については31%と、国際的にも突出した数値であることを明らかにした。その危険因子として、屋外労働者、男性、加齢などの因子を報告した。住民の10%を対象として超音波生顕微鏡検査を行い、約2割の住民の前房隅角の形状が閉塞隅角眼であることを報告した。失明原因としては網膜色素変性症の頻度が高く、また緑内障による失明者も同様に高頻度であった。特に閉塞隅角緑内障による失明は特徴的であった。一方、失明頻度は先進諸国における数値とほぼ同程度であり、離島における医療水準の高さが示された。角膜内皮の疫学調査として初めて、角膜内皮計測を参加全主民に行い、正常者の角膜内皮についての計測結果を報告した。 まとめ:沖縄県久米島町における緑内障を中心とした眼疾患の疫学調査を行い、緑内障有病率、病型別有病率、失明原因についての結果を報告した。沖縄県は治癒可能な閉塞隅角緑内障の有病率が本土の3~倍以上と高く、その予防、治療について積極的に住民の啓発、啓蒙に努める必要がある。
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