研究分担者 |
新家 眞 東京大学, 医学部附属病院眼科, 教授 (00092122)
今村 一之 理化学研究所, 視覚神経回路モデル研究チーム, 副チームリーダー (30203326)
渡辺 恭良 大阪市立大学, 大学院医学研究科・システム神経科学, 教授 (40144399)
嶋澤 雅光 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (80381721)
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研究概要 |
1)網膜障害による脳機能障害の検討 緑内障モデルとしてカニクイサルにレーザー照射誘発による高眼圧眼を作成した。レーザー照射後4ヶ月まで経時的に眼および脳をサンプリングした。照射した眼とは反対の外側膝状体(LGN)第1,4,6層及び同側第2,3,5層において、細胞数の減少並びにglial fibrillary acid protein (GFAP)陽性細胞の増加が認められた。さらに、マウスを用いて網膜障害によって引き起こされるLGNの経時的・部位的変化を検討した。N-Methyl-D-aspartate (NMDA)をマウス片眼硝子体内に投与することにより網膜障害モデルを作製し、その後の網膜・外側膝状体経路の形態学的な変化を観察した。その結果、NMDA投与1日後から認められる網膜障害に引き続き、NMDA投与7日後から対側の視索(視神経)において神経障害が認められた。また、LGNはdorsal LGN (dLGN),ventral LGN-lateral (vLGN-1),ventral LGN-medial (vLGN-m)の3領域において観察し、対側のdLGN及びvLGN-1領域特異的に神経細胞体の収縮がNMDA投与30及び7日後からそれぞれ観察され、引き続いて神経細胞死はNMDA投与90及び180日後にそれぞれ観察された。またLGNの神経変性過程においてGFAPが対側のdLGN及びvLGN-1両方の領域においてNMDA投与7及び30日後に、brain-derived neurotrophic factor (BDNF)は対側のdLGN及びvLGN-1においてNMDA投与30及び7日後にそれぞれ発現上昇が観察された。同側のLGN及び対側のvLGN-mにおいて有意な変化は見られなかった。以上、NMDA誘発マウス網膜障害モデルにおいて.網膜、視索(視神経)、LGNの網膜・外側膝状体経路の順にその障害は経時的かつ部位的に進展すること、またそのLGNの神経変性機構にはGFAP及びBDNFが関与していることが示唆された。 2)眼底の形態変化 高眼圧負荷眼におけるサルの眼底の変化について、眼底形態変化測定装置(HRT)、眼底カメラなどを用いて、経時的に測定し、ヒトと同様な緑内障様の形態変化を示していることを確認した。それらの結果を英文でまとめて論文を公表した(下記11.研究発表の項参照)。
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