研究概要 |
今年度は主に以下の点に関して研究を行った。科研費の交付決定が11月であったため、研究が若干立ち遅れている。 (1)弱視モデルの作成:生後7日のWistar Ratに対して、低体温法を用いて麻酔し、上眼瞼・下眼瞼を縫合した。視性刺激遮断後、2週・4週・6週後にて、大脳皮質視覚野・上丘・網膜の組織評価を行った。弱視モデルラットでは、視覚野における神経の可塑性を認めた。また、網膜・上丘・大脳皮質視覚野におけるドーパミンの局在・濃度を調査した。 (2)骨髄間質細胞の分化・誘導:ラット骨髄間質細胞を4週齢Wistar Ratから採取し、まず骨髄間質細胞のみを培養する。(Dezawa M et al. J Clin.Invest.113:1701-1710,2004)に記載してあるプロトコール通りに誘導し、約2ヶ月でドーパミン産生神経細胞の作成が可能であった。 (3)弱視モデルへの細胞移植:今年度は弱視予防の観点から、モデル作成と同時に骨髄間質細胞由来ドーパミン産生神経細胞の移植を硝子体内、脳室経由の二つの方法で行った。移植細胞は網膜・脳皮質に生着したところまで確認している。現在、それぞれのグループにおけるドーパミン局在と濃度の変化を調査中である。 これらの研究結果を踏まえて、平成18年度は更に、実験固体数を増加させ、神経可塑性とドーパミンの関連性、骨髄間質細胞由来ドーパミン産生神経細胞移植が弱視モデルに対して有効であるか否かを検討する。移植に関しては、硝子体内投与・経脳脊髄液投与の2種類を行い、網膜・脳皮質のどちらからのドーパミン投与が有効であるかも検討する。また電気生理学的検討も加えて実験予定である。
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