研究概要 |
【目的】成長期短小腸モデルで、胃、十二指膓,空腸および回腸の運動機能を無拘束下に記録しアルギニンの添加効果を対照と比較・検討した。【対象と方法】1)SD系4週齢雄ラットに近位側90%小腸切除(SBR)を行い、回盲弁より5cm口側で切離・再吻合したラットを対照(C)とし、エレンタールPを基本食にアルギニンまたはグリシンを添加投与し4群を作製,等窒素・等熱量で1匹づつ飼育した。2)術後3週または6週目に再開腹しforce transducer(FT)を、胃幽門部、幽門十二指腸および吻合部から2cm肛門側向腸の漿膜面に縫合固定し、3日目以後に12~24時間絶食後12時間実験食投与。12時間絶食を1クールとし多チャネルテレメータシステム(スターメデカル社製)で消化管運動を収録・解析した。【結果】1)C群では、実験食投与直前の十二指腸では3~5分持続する振幅の大きい蠕動波(MMC)が3~5分毎に出現し、空腸に伝播し3~4分持続するMMCとして観察された。MMCは摂食開始で消失するが3~4時間後から出現した。低頻度で絶食となる12時間目以後増加し、18時間目以後3~5分毎に出現した。以後実験食の開始で同様の蠕動波の出現パターンを繰り返した。2)SBR群でも、実験食投与直前の十二指腸で、3~5分続くMMCが摂食開始で消失した。MMCは3~4時間後に再び1~2時間毎に観察され、18時間目以後2~3分持続するMMCが8~10分毎に出現した。3)C及びSBR群とも吻合部以下の回腸に十二指腸からMMCの明らかな伝播を認めなかった。4)アルギニンのMMCの伝播に及ぼす効果は認めなかった。【結論】SBR群で、アルギニンの添加による胃腸運動に差は認めず、十二指腸MMCの残存回腸への伝播は抑制されていた。
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