MYCN増幅細胞株であるNB-1を用い、MYCN塩基配列に特異的なsiRNAsを導入してRNA干渉を行う。siRNA導入後の細胞について、MYCN mRNA発現をreal time RT-PCRにて測定、ウエスタンブロッティングおよび免疫染色で蛋白発現を測定し、MYCN発現抑制を確認する。MYCN発現抑制後の細胞について、WST assayおよび細胞数の測定を行い、細胞増殖能の変化を検討する。またMYCN発現抑制後の細胞の分化、アポトーシスの評価を行い、関連遺伝子発現を検索する。 MYCN mRNAの発現レベルは約30%以下まで抑制された。またウエスタンブロッティングでも発現抑制が認められ、免疫染色でもsiRNA導入後は有意に核の染色が減弱した。以上により、RNA干渉によりMYCN発現がmRNAおよび蛋白レベルで抑制された。 さらに細胞増殖能の検討により、MYCN発現抑制後の細胞は、WST assayおよび細胞数測定により有意に増殖能が抑制されることが明らかとなった。さらにこの細胞をTUNEL法で検索すると、アポトーシス陽性細胞が多数認められた。導入前後の形態学的変化として神経突起の伸長が観察され、同時に分化した神経細胞に高発現し、予後良好因子であるTrkA、TrkCの発現が有意に亢進していた。しかしながら、予後不良因子であるTrkBの発現には変化が見られなかった。また、同じく分化に関与する遺伝子であるHa-rasの発現には変化が見られなかった。 以上によりMYCN増幅細胞であるNB-1に対し、RNAi干渉を用いることにより、MYCN発現を30%以下まで抑制した。MYCNの発現抑制により、細胞増殖抑制・アポトーシスの亢進およびTrkAが関与する細胞分化が誘導された。 以上の結果を学術集会にて発表、論文作成を行った。
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