研究課題
1.目的 本研究の主たる目的は、正常腸管との相違を含めて血中に放出された炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6)や抗炎症性サイトカイン(IL-10)が、消化管運動に影響を及ぼすかどうか、また影響を及ぼす場合に関して平滑筋細胞レベルでその機序を明らかにすることである。2.方法 平成17年度は正常腸管平滑筋におけるIL-1・の及ぼす影響について検討した。(1)Hartley モルモット(雄;350-400g)の盲腸紐平滑筋条片を作製し、蛍光カルシウム指示薬(Fura-2/AM)を37℃で8時間負荷した。(2)この平滑筋条片にIL-1・を投与した際の収縮反応における細胞内カルシウム濃度と張力を、細胞内カルシウム-張力同時測定装置(CAM-230;JASCO, Tokyo)を用いて測定した。2波長(340nmと380nm)の励起光を交互に当て、それぞれの蛍光反応の比を細胞内カルシウム濃度として測光した。3.結果と考察 正常腸管平滑筋において、IL-1βによる直接の平滑筋収縮弛緩反応および細胞内カルシウム濃度の変化は得られなかった。また、細胞内カルシウム濃度の測定においては蛍光反応のシグナルを十分に得ることができなかった。これにより少なくともIL-1βが平滑筋自発収縮に影響をおよぼす可能性は少ないものと考えられた。今後は正常腸管平滑筋におけるagonist刺激に対してIL-1βが与える影響を検討する。一方、病的腸管からのアプローチとしてHirschsprung病での消化管運動を取り上げた。この疾患は無神経節腸管を有するためにその口側が拡張し巨大結腸となり腸炎を引き起こし、炎症性サイトカインが放出される。そこで現在、実際の疾患モデル(Hirschsprung病モデルラット;endothelin B受容体遺伝子欠損ラット)を用いて、その腸管平滑筋の収縮特性について生理実験を開始している状況である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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