研究課題/領域番号 |
17591871
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形成外科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
館 正弘 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (50312004)
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研究分担者 |
山田 敦 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60107662)
今井 啓道 東北大学, 病院・助手 (80323012)
鳥谷部 荘八 東北大学, 病院・助手 (90375006)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | MMP / 創傷治癒 / 慢性皮膚潰瘍 / 細菌感染 |
研究概要 |
ヒト褥瘡の組織は5検体が得られ、潰瘍辺縁部と潰瘍中心部の組織の凍結固定とパラホルムアルデヒド固定後が保存されている。それらの組織を用いて、組織中のMMP・TIMP活性を免疫組織化学的に分析した。潰瘍底の肉芽部分では血管新生に伴ってMMP9が発現し、潰瘍辺縁部の表皮化部位で表皮細胞の基底層から顆粒層にかけてMMP2、MMP9、TIMP2が発現していることが明らかになった。すなわち肉芽形成期・表皮形成期に応じてMMP2・9、TIMPが発現し組織の再構成が行われることが明らかとなった。 創傷治癒遅延モデルとして、慢性腎不全ラットモデル(手術によって人為的に腎臓機能を6分の1にするモデル)での創傷治癒実験を行なったが、創傷治癒遅延は生じなかった。 次に虚血皮弁モデルをラット背部に作成し、さらに細菌(緑膿菌)を播種することによって、慢性皮膚と同じモデルとなりうるかを検証した。このモデルにおいては虚血において、また細菌を播種することにより創傷治癒速度が遅くなり、臨床の褥瘡と類似した病態を作成することが可能となった。MMPの経時的発現を免疫組織化学的に検討したが、正常皮膚群で細菌を播種した創部に表皮細胞の進展部位に一致してMMP9が受傷後3目目から発現していた。この時期では線維芽細胞は誘導されておらず、好中球の存在がMMPの誘導に関与している可能性が示唆された。 細菌の播種後、細菌の定着とバイオフィルム形成を電顕的および蛍光顕微鏡的に観察した。非虚血群においてバイオフィルム形成が多く認められ、好中球の存在がバイオフィルムの形成に関与していることが明らかとなった。 褥瘡の臨床検体および、ラットに作成した虚血・感染症モデルから、慢性皮膚潰瘍の創傷治癒には血管新生にともなってMMPが誘導されることにより表皮細胞の遊走が重要な要素となることが明らかとなった。
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