研究課題/領域番号 |
17591872
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉本 信也 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (90220748)
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研究分担者 |
一瀬 正治 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90082156)
喜多 和子 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80302545)
野村 純 千葉大学, 教育学部, 助教授 (30252886)
杉田 克生 千葉大学, 教育学部, 教授 (40211304)
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キーワード | 細胞伸展 / cDNAマイクロアレイ / 抗体パネル / rac1 / ケロイド / 線維芽細胞 / メカニカルストレス / 足場強度 |
研究概要 |
本研究は創傷治癒過程の異常により生じた皮膚肉芽腫ケロイドの発生、進展および増大の機序を解明することを目的とし、ケロイド由来線維芽細胞の足場強度依存性に着目した。外科治療により得られた皮膚組織を用い、ケロイドおよび正常組織由来の初代培養系線維芽細胞をえた。これらの細胞をコラーゲンコートしたシリコン膜上に播種し、接着後伸展刺激を加えた。伸展はスカラテックNS-500を用い、1軸方向に110%もしくは120%伸展した。伸展のパターンは持続および周期性伸展(6〜10サイクル)をおこなった。この条件下で細胞を回収し、RNAおよびタンパク質を抽出した。前年度は伸展刺激の遺伝子発現に及ぼす影響について1)cDNAアレイ、タンパク発現について2)抗体パネルによる解析を行い、次の結果を得た。1)cDNAアレイにおいては伸展刺激有無による比(伸展あり/なし)を正常皮膚A ratio、ケロイドB ratioとし、それらの比(B ratio/A ratio)による検討を行った。cDNAアレイを用いた解析により、ケロイドと正常皮膚由来の線維芽細胞の伸展刺激に対する反応性の違いが、細胞骨格、膜蛋白、サイトカインに関わる遺伝子に見られた。2)抗体パネルではsmall GTP binding protein Rac1の発現量がケロイドにて増加していた。Rac1は伸展ストレスによるcardiac hypertrophyとの関連が報告されている。ケロイドは伸展刺激に対する線維芽細胞の反応性の特異性が、病態を特徴づけている可能性が示唆された。 今年度は以上の結果に基づいて1)より最も変動の見られた因子について複数の検体よりサンプルを抽出してmRNAレベルおよび蛋白レベルでの変動の検証を行った。結果は投稿中の論文に掲載した。また、二次元電気泳動装置を用いて、細胞内分子の発現量の変動を解析した。 さらにアクリルアミド上での培養を行い、足場の硬さを調節することにより、細胞形態や増殖速度に変化が見られることを確認した。
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