研究課題/領域番号 |
17591873
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
河合 佳子 信州大学, 医学部, 助手 (10362112)
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研究分担者 |
伊古美 文隆 信州大学, 医学部, 助教授 (50262704)
水野 理介 信州大学, 医学部, 講師 (30273080)
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キーワード | リンパ管 / 内皮細胞 / 培養 / 運動能 / 浸潤能 |
研究概要 |
リンパ系は血管系と並列に存在する脈管系であり、リンパ管の生理学的役割として、主に毛細血管・細静脈領域から漏出した体液や血漿蛋白のアルブミンを血液に再回収して細胞周囲の内部環境の恒常性を適正に維持することにある。しかし、血管新生や腫瘍の血行性転移に比し、リンパ管新生やリンパ行性転移の詳細に関しては不明な点が多く、リンパ管新生を惹起する環境や因子に関してもほとんど解明されていない。 すでに、当教室ではラット胸管よりリンパ管内皮細胞の単独分離・培養法を確立しており、リンパ管内皮細胞の生育には低酸素環境(酸素濃度5%)での培養が不可欠であることを確認している。また、生体内でも、リンパ液は血液に比し酸素分圧が低く(40mmHg以下)、悪性腫瘍周辺の酸素分圧においては低いところでは5mmHgとの報告も認められ、リンパ管新生のメカニズムの鍵を握る重要な因子として低酸素環境が考えられる。 そこで、当教室で確立した乳癌患者のセンチネルリンパ節輸入リンパ管由来のリンパ管内皮細胞を用い、低酸素環境下におけるリンパ管内皮細胞の増殖能・運動能・浸潤能等の生物学的特性を検討し、リンパ管新生に関連している生物学的因子や環境要因を詳細に解明する。また、市販されている毛細リンパ管と能動的リンパ輸送を行う輸入リンパ管内皮細胞との差異を検討することにより、リンパ浮腫に対するリンパ管新生促進療法を臨床応用へつなげるためのトランスレイショナルリサーチを行う。
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