研究課題/領域番号 |
17591874
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内藤 素子 京都大学, 医学研究科, 助手 (30378723)
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研究分担者 |
宇谷 厚志 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10292707)
永田 和宏 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50127114)
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キーワード | 組織幹細胞 / ケロイド / リプログラミング / 多能性幹細胞 |
研究概要 |
ケロイド病変部と正常皮膚における遺伝子発現パターンをマイクロアレイ解析により比較したところ、ケロイド病変部では、通常皮膚では発現しないような遺伝子が、強く発現していることを発見した。これらのケロイドに特徴的な遺伝子発現パターンをさらに検討した結果、ケロイド病変部の遺伝子発現パターンは、sox9、cbfa1などの転写因子を発現し、I型コラーゲンを大量に発現し、X型コラーゲンも発現しているが、II型コラーゲンは発現しないことを見出した。この発現パターンは、腱や靭帯に含まれる多能性組織幹細胞の遺伝子発現パターンと非常に似通っていることを発見した。そこで腱や靭帯に存在する組織幹細胞に特異的に発現することで知られる遺伝子「scleraxis」が、ケロイド病変部で発現しているかどうかを、RT-PCRにより調べた。ケロイド組織での発現は確認できなかったが(実験感度の問題と考えられる)、ケロイド組織から採取した線維芽細胞様細胞では、継代数が2回までのもので、scleraxisの発現が確認できた。このことから、ケロイドを構成する細胞は、腱や靭帯に存在する組織幹細胞の特徴を有することを示した。これにより、真皮内病変であるケロイドを構成する細胞が、異所性の組織幹細胞の性質を有していることが示された。すなわち、我々の提案する「ケロイド構成細胞は、組織幹細胞がリプログラミングされたものではないか」、という仮説を支持する成果を得られた。17年度ではさらに、ケロイド幹細胞を効率よく、安定して採取可能なケロイド検体処理方法ならびに培地成分を決定したため、今後、この培養法により得たケロイド幹細胞と正常皮膚幹細胞の相違点を明確にし、リプログラミングの原因を解明することを目標とする。
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