研究課題
基盤研究(C)
ケロイド病変部と正常皮膚における遺伝子発現パターンをマイクロアレイ解析により比較したところ、ケロイド病変部では、通常皮膚では発現しないような遺伝子が、強く発現していることを発見した。これらのケロイド組織に特徴的な遺伝子発現パターンをさらに検討した結果、ケロイド病変部の遺伝子発現パターンは、sox9、cbfa1などの転写因子を発現し、1型コラーゲンを大量に発現し、X型コラーゲンも発現しているが、II型コラーゲンは発現しないことを見出した。この発現パターンは、腱や靭帯に含まれる多能性組織幹細胞の遺伝子発現パターンと非常に似通っていることを発見した。さらに、腱や靭帯に存在する組織幹細胞に特異的に発現することで知られる遺伝子「scleraxis」が、ケロイド組織由来線維芽細胞様細胞(継代2回まで)で発現していた。このことから、ケロイドを構成する細胞は、腱や靭帯に存在する組織幹細胞の特徴を有することを示した。次に、組織より幹細胞を採りだし、効率よく採取する培地成分を検討した。その結果、Tomaら(Nat.Cell.Biol.3:778-784,2001)の方法に準じて作成したものをベースに、サプリメントAを添加した場合に、効率的に幹細胞数が採取できることがわかった。得られた幹細胞の性質を、ケロイド病変部由来と正常皮膚由来で比較するため、両細胞からトータルRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を試みた。両者は共通した遺伝子発現パターンを示す一方で、ケロイド幹細胞にのみに特徴的な複数の転写因子を見いだした。これにより、真皮内病変であるケロイドを構成する細胞が、異所性の組織幹細胞の性質を有していることが示された。すなわち、我々の提案する「ケロイド構成細胞は、組織幹細胞がリプログラミングされたものではないか」、という仮説を支持する成果を得られた。
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