研究課題/領域番号 |
17591886
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池側 均 大阪大学, 医学系研究科, 特任助手(常勤) (80379198)
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研究分担者 |
鍬方 安行 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50273678)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
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キーワード | 人工赤血球 / 組織酸素代謝 / 酸素運搬能 |
研究概要 |
本研究の目的は、人工赤血球(カプセル化Hb)の酸素運搬能を評価し、大量出血時における血液代替輸液として活用が可能かどうか検討を行う物である。 方法:体重2.4〜2.8kgNZWウサギを静脈麻酔、気管切開下に調節呼吸とした。剣状突起下に心嚢を開窓し、バルンを挿入し心拍出量を可変とした。血行動態は侵襲的に、心拍出量は熱希釈法、酸素消費量は呼気回収法で求めた。Base lineを測定し150秒かけて9ml/kgの血液を脱血、その後150秒かけて同等量の血液製剤を投与した。これを8回線り返した。血液製剤により自己血群、NRC群を作成した。Time=60、90、120分に血行動態、酸素消費量を測定。以後段階的に心タンポナーデを加えDual line法で酸素消費量(VO_2)/運搬量(DO_2)関係を解析した。血液置換に伴い、NRC群では代謝性アシドーシスが生じていることが分かり、右大腿内転筋に酸素分圧電極を挿入し、組織分圧測定を行った。 結果:i)循環血液のNRCへの置換率は平均87%であった。ii)血行動態は両群間とも安定しており、有意差はない。iii)回帰式:NRC群;VO_2=0.69×DO_2+1.8、RBC群;VO_2=0.68×DO_2+2.3酸素分圧は置換前を100%とし、置換120分後にNRC群は46±19%にまで優位に低下するものの、自己血群では93±17%と置換前の状態が保たれていた。 まとめ:NRC置換による有意な血行動態変化はなく、自己血群と同様に心拍出量はよく保たれた。VO_2/DO_2関係からすると、NRCはRBCと同等の酸素摂取能を持つ。NRCで置換することで、骨格筋レベルでは酸素負債が生じていると考えられた。血液がNRCに置換されている場合その酸素供給が過剰となり血管レン縮をきたしているのではと推察している。今後、局所の血流評価を生体顕微鏡などを利用して検討していく予定である。
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