研究課題/領域番号 |
17591888
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
片山 浩 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (90161067)
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研究分担者 |
高橋 徹 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40252952)
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40108171)
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キーワード | 出血性ショック / 急性肺傷害 / 酸化ストレス / 炎症 / ウリナスタチン / TNF-α / iNOS / 敗血症 |
研究概要 |
出血性ショック(Hemorrhagic shock: HS)・蘇生は全身性の炎症反応から酸化ストレスを誘発することにより敗血症から多臓器不全(MOF)を引き起こし死に至らしめる。HS後の臓器障害の一つである急性肺傷害(acute lung injury: ALI)は死亡原因の大きな要因である。この肺傷害には、肺に浸潤した好中球などの関与が示唆されているが、現在でもまだ有効な治療法は確立されていない。ウリナスタチン(UTI)はセリンプロテアーゼインヒビターの1種であり、抗炎症作用を有する事が報告されおり、手術・外傷など高度の侵襲が起こった場合、臓器傷害を軽減させる事が報告されている。今年度の研究では、ラット出血性ショックにUTIを投与しALIへの効果を検討した。雄性SDラットの大腿静脈から脱血を行い、平均血圧を30mmHgに60分間維持した後返血して蘇生し、HSモデルを作成した。これをHS群とHS+UTI群の2群に分け、HS+UTI群ではUTIをショック開始30分前に50,000 U/kg投与を行なった。これにsham群を加え、炎症の指標であるTNF-αとiNOS mRNAの発現についてノーザンブロット法で検討した。また、肺wet/dry ratio、肺myeloperoxidase活性にて肺傷害を、HE染色で組織学的検討を行なった。その結果HSによって誘導されたTNF-α、 iNOS mRNAはUTI投与によってその発現が抑制され、HSによって上昇した肺wet/dry ratio、肺myeloperoxidaseはUTI投与により低下した。以上より、UTIはHS蘇生後のALIに対する治療薬として期待される。
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