研究概要 |
1.まず、当院近隣の大規模集客施設のうち、国立霞ヶ丘競技場、秩父宮ラグビー場、明治神宮野球場、明治神宮外苑アイススケート場、東京体育館を訪ね、その施設を見学し、運営状況と医療対応状況を把握した(医療資材の確認、医療対応記録の閲覧、管理者の安全意識や医療に対する考え方の聞き取りを含む)。また、これらの施設から当院に救急搬送された傷病者の治療状況を、当院の診療録で調査した。 この結果、各々の施設で過去数年間に発生した傷病者の実数とその内容、および治療状況(現場および救急搬送を含む)を知ることができ、施設ごとの特性(傷病の発生状況、医療対応の実際)が明らかになった。結果は施設ごとに論文として投稿の予定である。 2.また、当院に救急医療対応を依頼してきた過去3年間のすべての催事を、「医療対応の依頼(お願い)」の文書から分析し、催事主催者の医療に対する考え方を調査した。 この結果、医療対応を依頼する文書には、文面から催事の概要(催事の内容、集客規模、想定される医療上の問題点、現場における医療資材の準備の有無と内容、医療従事者の待機の有無、など)が全く把握できないものが多数あり、中には主催者への連絡先すら明記されていないなどの問題点が明らかとなった。結果を英文論文にまとめたものが、今年度の日本集団災害医学会誌に掲載された(H.Ishikawa, et al. Problems with written requests for medical support from event organizers. J.J.Disast.Med. 2005,10,10-18.)。
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