研究課題/領域番号 |
17591898
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
相星 淳一 日本医科大学, 医学部, 助手 (50256913)
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研究分担者 |
山本 保博 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70125079)
小池 薫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10267164)
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助手 (30165162)
小林 哲幸 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (50178323)
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キーワード | 出血性ショック / 多臓器障害 / 保存血 / 代用血液 / 腸間膜リンパ液 / 好中球 |
研究概要 |
保存血(MAP血)の上清(血漿分画)による好中球の活性酸素産生能に対する効果を検討した。その結果、MAP血は時間依存的(保存期間)、用量依存的(輸血量)に活性酸素の産生を明らかに増加させることを証明した。これによって、好中球を活性化する物質が保存期間中に保存血内で産生されていることが示唆され、長期間保存された保血の大量輸血は好中球を活性化することにより、出血性ショック後の多臓器障害を増悪する可能性がある。現在、保存血中の好中球活性物質(サイトカイン、脂質メディエータ)の定性および定量を行っている。 これまでの海外からの研究報告では、出血性ショック後の腸間膜リンパ液の体循環への流入を阻止することにより、ショック後の肺傷害を抑制することから、虚血・再潅流に曝された腸管が産生する腸間膜リンパ液は肺傷害の発症に特に重要であることが報告されている。我々が作製したラット出血性ショックモデルでも、腸間膜リンパ液の体外へのドレナージにより同様の結果を得た。さらに、我々は肺傷害と強く関連する好中球に対して出血性ショック後の腸間膜リンパ液の影響について検討し、腸間膜リンパ液は好中球の活性酸素産生、CD11b接着分子発現、接着能を有意に増加させることを証明した。また、出血性ショックに対する蘇生輸液として代用血液(liposome encapsulated hemoglobin)を投与し同様の実験を行った。代用血液による蘇生は、好中球の活性酸素産生、CD11b接着分子発現、接着能を有意に軽減することを明らかにした。現在、腸間膜リンパ液中に存在する好中球活性化物質の定性・定量を進めている。
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