研究課題/領域番号 |
17591898
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
相星 淳一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50256913)
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研究分担者 |
山本 保博 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70125079)
小池 薫 京都大学, 大学院・医学研究, 教授 (10267164)
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
小林 哲幸 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (50178323)
増野 智彦 日本医科大学, 医学部, 助教 (00318528)
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キーワード | 出血性ショック / 腸間膜リンパ液 / 脂質メディエータ / 多臓器障害 / 肺傷害 / 好中球 / lyso-phosphatidylethanolamine / lyso-phosphatidylcholine |
研究概要 |
ラット出血性モデル(平均動脈圧40mmHg、30分間)を作製し、ショック後の腸間膜リンパ液に存在する脂質メディエータ、特にリン脂質について検討を行った。脂質メディエータの抽出および質量分析は、お茶の水女子大学(小林哲幸教授研究室)で測定を行った。出血性ショック群の腸間膜リンパ液にはリノール酸lyso-phosphatidylethanolamine(LPE)、リノール酸lyso-phosphatidylcholine(LPC)、アラキドン酸LPE、アラキドン酸LPC、オレイン酸LPC、ステアリン酸LPE、ドコサヘキサエン酸LPC、ドコサヘキサエン酸LPEが有意に増加することを確認した。また、蘇生輸液終了時点の血漿中のLPCおよびLPEを測定した結果、血漿中のアラキドン酸LPC、ドコサヘキサエン酸LPCの有意な増加を認めた。 今年度はさらに、リノール酸LPC、リノール酸LPE、アラキドン酸LPC、アラキドン酸LPEの4つのリゾリン脂質について、ヒト好中球に対する生物活性(活性酸素産生能、エラスターゼ放出能、遊走能)を測定した。その結果、リノール酸LPC、リノール酸LPE、アラキドン酸LPC、アラキドン酸LPE(1、5、25μM)は、用量依存的に活性酸素およびエラスターゼ放出を誘導することを確認した。また、リノール酸LPC、リノール酸LPE、アラキドン酸LPC、アラキドン酸LPE(25μM)は、好中球に対して遊走能を示すことを明らかにした。以上より、TNFやCINC-1などのサイトカインとともに、これらの脂質メディエータを含有する腸間膜リンパ液は、出血性ショック後の全身性炎症反応症候群を増悪して、ARDSやMODSを惹起することが示唆された。
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