研究課題/領域番号 |
17591902
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
依田 浩子 新潟大学, 大学院医歯学総合研究科, 科研費研究員 (60293213)
|
研究分担者 |
丸山 智 新潟大学, 医歯学系, 助手 (30397161)
佐藤 俊哉 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90359703)
程 くん 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (40207460)
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
鈴木 誠 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50107778)
|
キーワード | ヘバラン硫酸プロテオグリカン / パールカン / トランスジェニックマウス / 過剰発現 / 歯胚エナメル器 / 星状網 / 上皮内基質 / ケラチン5プロモータ |
研究概要 |
前年度までに作製したパールカン上皮細胞過剰発現系トランスジェニック(Tg)マウスをもちいて、今年度は歯胚組織および口腔粘膜におけるin vivoでの病的変化について、組織学的および分子生物学的に検索した。さらに歯胚エナメル器を分離後、星状網様細胞の初代培養をおこない、パールカン過剰発現の有無による細胞形態の変化について解析をおこなった。その結果、歯胚組織においては、胎生期Tgマウス臼歯でエナメル器星状網の細胞間隙が著明に拡大し、エナメル器形態の変化とともにエナメル器内の細胞分化にも乱れが生じていた。生後臼歯では、歯冠形態が鈍縁化し、同時に歯根離開も観察された。さらに、Tgマウス歯胚組織の遺伝子発現の解析結果より、出生前後で線維芽細胞増殖因子をはじめとする各種成長因子やMsx-2などの転写因子の遺伝子発現上昇が確認された。したがって、パールカンはエナメル器内の成長因子や転写因子の発現調節に関わり、歯胚エナメル器細胞の分化と、歯冠および歯根形態の誘導を制御していることが示された。さらに、口腔粘膜上皮では、基底細胞の配列の乱れおよび多層化が観察され、上皮過形成ないしは異形成等の口腔粘膜疾患の発症過程において、上皮細胞間へのパールカン過剰沈着が関与している可能性が示唆された。 以上、前年度および今年度の研究結果より、上皮細胞が産生する細胞外基質としてのパールカンが、歯胚組織および口腔粘膜上皮の形態形成を調節していることがあきらかとなり、他の上皮組織(皮膚、皮膚付属器、唾液腺等)の恒常性維持にも重要な役割を果たしていることが推察された。したがって、上皮内基質が上皮組織の構築を制御しているという新たな観点から、今後の上皮再生医療の発展に貢献が期待される研究展望がえられた。
|