研究課題/領域番号 |
17591905
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森谷 正之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (80303981)
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研究分担者 |
吉田 篤 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90201855)
竹村 元秀 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70192169)
杉生 真一 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (90397688)
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キーワード | 三叉神経節 / ATP受容体 / ニューロペプチド / 侵害受容 / 一次求心神経 / 咀嚼筋 |
研究概要 |
咀嚼筋痛は顎関節症の診断上、重要な所見の一つである。しかし、咀嚼筋痛の伝達に関わる神経機構には不明な点が多く、その詳細が解明されれば、顎関節症の診断と治療に有益な指針を与えることが期待される。一方、受容体共役型Ca^<2+>チャンネルであるP2X_3受容体(P2X_3-R)は感覚神経に発現し、侵害受容に関与する受容体として注目されている。本研究では、咬筋感覚伝達ニューロン(MasN)の特性を明らかにするため、三叉神経節に存在するMasNでのP2X_3-Rの発現を観察した。咀嚼筋のうち、咬筋の感覚を伝達する三叉神経節ニューロンを同定するため、咬筋に神経トレーサーのrhodamine-dextran (Rho)を注入した。さらに、免疫組織学的手法により、P2X_3-R、calcitonin gene-related peptide (CGRP)、substance P (SP)、α-D-galactose specific lectin (IB4)を発現しているニューロンを同定し、三叉神経節に存在するMasNでの発現を観察した。その結果、1.三叉神経節ニューロンのうち、小型〜中型ニューロンでP2X_3-R発現を認めた。2.三叉神経節ではIB4陽性ニューロンの16%がP2X_3-R陽性を示したのに対し、P2X_3-R陽性ニューロンの73%がIB4陽性を示した。3.MasNの21.6%、顔面皮膚感覚伝達ニューロンの16.0%がP2X_3-R陽性を示した。4.P2X_3-R陽性MasNには、CGRPやSPに対して陽性を示すものを認めた。MasNの20%以上にP2X_3-Rが発現し、痛覚の伝達に関連するとされるCGRPやSPといったニューロペプチドとの共存が確認されたことから、P2X_3-R発現咬筋感覚伝達ニューロンは侵害情報伝達に関与していることが示唆された。
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