研究課題
基盤研究(C)
受容体共役型Ca^<2+>チャンネルであるP2X_3受容体(P2X_3-R)は感覚神経に発現し、侵害受容に関与する受容体として注目されている。平成17年度は、咬筋感覚伝達一次求心ニューロン(MasN)の特性を明らかにするため、三叉神経節に存在するMasNでのP2X_3-Rの発現を観察した。その結果、1.三叉神経節ニューロンのうち、小型一中型ニューロンでP2X_3-R発現を認めたっ2.三叉神経節ではIB4陽性ニューロンの16%がP2X_3-R陽性を示したのに対し、P2X_3-R陽性ニューロンの73%がIB4陽性を示した。3.MasNの21.6%、顔面皮膚感覚伝達ニューロンの16.0%がP2X_3-R陽性を示した。4.P2X_3-R陽性MasNには、CGRPやSPに対して陽性を示すものを認めた。以上の結果は、これまで脊髄系で報告されている結果と異なっており、三叉神経系での筋痛伝達のメカニズムが脊髄神経系と異なることが示唆された。平成18年度は、咀嚼筋痛による行動上の変化と咀嚼筋痛覚を伝達する神経細胞の特性の変化を明らかにするため、ラットの咬筋にacidic saline(AS ; pH4.0)を注入し、それによる変化を観察した。その結果、ASの注入前後で頭部引っ込め反応閾値の有意な変化は認めなかった。また、三叉神経節の咬筋感覚伝達一次求心ニューロン細胞体でのcalcitonin gene-related peptideやsubstancePなど、痛覚伝達に関与する物質の発現にも変化も認めなかった。以上より、咬筋のpH変化に対する感受性は、腓腹筋などAS投与によりallodyniaを引き起こす脊髄系の筋と異なることが示唆された。以上の結果から、咀嚼筋と脊髄神経の支配を受ける筋とでは、侵害刺激に対する応答やその情報伝達様式に違いがあることが示唆された。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (12件)
Pain 120
ページ: 53-68
Arch Histol Cytol 69
ページ: 79-100
Dentistry in Japan 41
ページ: 8-12
Pain 117
ページ: 280-291
Brain Research 1060
ページ: 118-125
Neuroscience 133
ページ: 507-518
Brain Res. 1060