研究課題/領域番号 |
17591906
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹村 元秀 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (70192169)
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研究分担者 |
米原 典史 奥羽大学, 薬学部, 教授 (70124534)
森谷 正之 大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (80303981)
小林 真之 日本大学, 歯学部, 助教授 (00300830)
杉生 真一 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (90397688)
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キーワード | 神経因性性疼痛 / 侵害受容器 / 機械受容器 / ニューロキニン1 / γアミノ酪酸受容体 / ビククリン / c-Fos / 三叉神経 |
研究概要 |
口腔・顔面領域は皮膚領域と、粘膜領域とが入り組み、ラットへのホルマリンの注入刺激は顔面の方が口腔内より多くの疼痛関連行動を起こす。その行動は脳内抑制性伝達物質であるGABA受容体を通して制御され、その制御効果も顔面の疼痛に対する方が大きい。口腔領域はC線維が顔面皮膚より少なく、そのことが中枢の制御機構にも差を生じさせている。ペプチド性のC線維に含まれるサブスタンスP(SP)の受容体であるニューロキニン1(NK-1)は三叉神経尾側亜核(Vc)のI層とIII層に分布し、侵害受容に関わっている。ライボソーム非活性化毒素であるサポリンをSPに結合させたSP-サポリンを小脳-延髄槽(大槽)に投与したラットでは、VcのI層とIII層のNK-1受容体免疫陽性ニューロンの数が減少した。三叉神経節を電気刺激した後のVcでのc-Fos発現がコントロールラットに比べ減少した。コントロールラットでは電気刺激前たビククリンを全身投与するとVcでのc-Fos発現は減少するが、SP-サポリン処置ラットでは逆に増加した。すなわちNK-1を持つニューロンが侵害刺激の受容だけでなく、上位脳のGABA_Aを介した制御系に関与することを示した。 歯科では抜髄処置を行うことが多く、微小環境での神経切断が必然的に行こり、異常な疼痛が起りやすい(神経因性疼痛)。この異常な疼痛の主因は、神経損傷後に、損傷されたニューロンだけでなく、近傍の無傷のニューロンが異常な活動をすることと考えられている。三叉神経を切断すると支配領域からの入力は遮断されるが、ニューロンの表現型を変化させ、異所性の発火を起こす。ラットの三叉神経切断後に三叉神経節を電気刺激し、脳内のc-Fos活動を調べると、切断神経からの侵害受容ニューロンの活動は低下し、機械刺激受容ニューロンの活動は増加した。逆に非切断神経からの侵害受容ニューロンの活動が増加した。
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