研究課題
基盤研究(C)
内軟骨性骨化因子CTGFの有用性が多数指摘されてきた背景をもとにCTGFの骨折回復促進への応用を検討する目的で、in vivoでのCTGFの役割の分析を行った。CTGFはマウスの骨形成の際、増殖軟骨細胞が肥大軟骨細胞へ分化する過程で肥大骨細胞に発現した。ctgfノックアウトマウスを作成し、その骨形成を観察したが、血管形成では野生型と有意差が見らなかったし、発生中期の肝臓における巨核球、単核球系の細胞の密度にも有意差が無く、骨形成でさえ殆ど正常に近かった。しかし、ctgfのノックアウトマウスでは長骨は野生型とはやや異なり、石灰化以降の骨形成は遅延し、軽度の湾曲が見られた。口蓋は吻側から尾側まで完全に分離した重度の口蓋裂を生じ、結局出生直後で死亡し島後期胚で肥大軟骨細胞層の厚さが野生型よりかなり厚かったこと、破骨細胞の肥大軟骨層への集中が見られなかったことが、長管骨の形成に影響したと推測された。即ち、肥大軟骨細胞にCTGFが発現するとアポトーシスが起こり、そこへ向かって破骨細胞が集中するというメカニズムが働いていない可能性が示唆された。そこで、ラットの大腿骨を骨折させてカルスを作り破骨細の動態を観察したところ、最初カルスの周囲にランダムに配置していた破骨細胞は、骨折10日以後長軸に直角に配置し、カルス軟骨部の吸収が活発化することが判明した。これらの結果から、破骨細胞の動向が内軟骨性骨化に影響を与える可能性が示された。次に、肥大軟骨細胞と破骨細胞の関係を確認するため、軟骨細胞と破骨細胞のコンビネーション培養を試みた。培養液にCTGFやSF/HGFの受容体であるc-Metの抗体を添加し、24時間後にTRAP染色によって破骨細胞の移動を比較検討し鳥その結果、抗CTGF抗体を添加すると破骨細胞の増殖も移動活性も有意に上昇するという、in vivoのデータと相反する結果を生じた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
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