研究概要 |
ヘパラナーゼはヘパラン硫酸特異的エンドβ-D-グルクロニダーゼである。ヘパラン硫酸プロテオグリカンは組識の細胞表面と細胞外マトリックスに存在し、細胞接着や増殖因子の受容体として機能する。本年度は,歯原性腫瘍におけるヘパラナーゼの発現について免疫組織化学およびIn situ hybridization法により検討した。 歯原性腫瘍としてエナメル上皮腫,腺様歯原性腫瘍,石灰化嚢胞性歯原性腫瘍,エナメル上皮線維腫を用いた。一次抗体として抗ヒトヘパラナーゼ抗体(中島元夫博士より供与)を用いた。ISHには約600bpのジゴキシゲニン標識mRNAプローブを用いた。 エナメル上皮腫では全ての症例においてヘパラナーゼ蛋白および遺伝子発現を認めた。特に腫瘍胞巣辺縁部の高円柱状細胞において強い蛋白の局在および遺伝子発現が認められた。また,腫瘍細胞が歯提様に増殖する部位や浸潤先端部において強い発現がみられた。腺様歯原性腫瘍においても多くの細胞で蛋白および遺伝子発現を認めた。石灰化嚢胞性歯原性腫瘍およびエナメル上皮線維腫では不規則な染色性を示した。 ヘパラナーゼは歯原性腫瘍において特異的な発現を示し,その浸潤や細胞の分化に関与する可能性が示唆される。 本研究の一部は,第94回日本病理学会総会(横浜),International Symposium of Maxillofacial & Oral Regeneretive Biology in OKAYAMA 2005(OKAYAMA)において発表した。
|