平成17年〜18年度に得た成果の概略をまとめ本申請課題の成果報告書とする。 無処置マウスにおいて、Messencephlic nucleus(Me5)とTrigeminal ganglion(TG)におけるニューロンの数は、生後360日齢では30日齢の数と比べて有意に減少する。実験的に臼歯を抜去するとInferior alveola rnerve(IAN)の早期変性、Me5とTGにおけるニューロン数の有意な減少を引き起こす。一方、脳における神経再生等に大きな役割を果しているacidic fibroblast growth factor(aFGF)は、生後10日のマウスの脳の様々な部位に発現しており、加齢とともに増加することが明らかになった。さらに、臼歯の抜去直後に、抜歯窩にaFGFを投与した後、Me5、TGにおいてニューロン数を調べた結果、aFGF無処置のマウスで減少していたニューロン数が、抜歯をしていないマウスのレベルにまで回復していた。 さらに、正常なICRマウスを用いて、脳におけるニューロンの新生が見られる部位と見られない部位を特定するために、自由飲水によりBrdUを投与し、BrdUの取り込み細胞の存在を確認した。引き続きBrdUを取り込んだ細胞がどのような細胞の前駆体であるかにっいて、ニューロンの前駆細胞のマーカーであるDCX等のマーカーと細胞新生の指標となるBrdUの二重免疫組織化学等の方法を用いて解析した。その結果、咀嚼に関連した部位を含む中枢の様々な部位での細胞新生とニューロンの前駆細胞の存在を確かめた。今回の研究で特に興味深い所見は、様々な行動制御に関与する黒質に細胞新生が認められたことである。しかしながら、これらの結果の具体的な記載については現在論文としてとりまとめちゅうであるため割愛する。
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