研究課題
味覚障害の患者は、この10年間で3倍以上に増加し、全国で毎年14万人以上の患者が発生している。味覚障害の原因解明や予防法、治療法を開発することは、歯科医療の重要な役割の一つである。そのためには、味蕾の細胞生物学的特性や味覚情報伝達機構を理解することが重要である。味蕾内には数種の独立した細胞型が存在するが、その中でII型細胞は、T1Rs, T2Rsをはじめとした味覚受容体(甘味、苦味、うま味)と、これらに共役するG蛋白質・gustducinやPLC-β2をはじめとした細胞内味覚情報伝カスケード分子が発見されてきたが、シナプス小胞は存在せず、求心性シナプスも見られない。II型細胞が受容した味覚情報が、どのようにして味蕾内で伝達されているのか、現在のところ解決されていない大きな謎となっており、その解明が急がれる。近年Baulieuらの研究により、性ステロイドが細胞間情報伝達に重要な役割をもつことが示唆されている。性ステロイドは、先ずコレステロールを材料にチトクロームP450sccの作用により、プレグネノロンがつくられ、これが生体内に存在するすべてのステロイド生合成の第一段階である。我々はII型細胞が性ステロイドの合成酵素であるチトクロームP450コレステロール側鎖切断酵素(P450scc)、チトクロームP450aromatase(P450aroma)をはじめとしたステロイド合成酵素を含有すること、産生される性ステロイドがエストラジオールであることを発見した。このことは、更年期以降の女性に味覚障害が多く発症することを裏付けるものである。
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