研究課題/領域番号 |
17591923
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
河野 葉子 昭和大学, 歯学部, 准教授 (40195681)
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研究分担者 |
瀧本 雅文 昭和大学, 医学部, 准教授 (40179586)
村松 敬 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00276982)
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キーワード | 口腔癌 / DNA損傷 / p53 / 制御遺伝子 |
研究概要 |
【目的】正常細胞が癌化する最初のポイントは、ゲノムDNAに損傷や異常がおこるためと考えられる。そこで、口腔癌由来培養細胞に化学的DNA損傷を与え、DNA損傷チェックポイント制御遺伝子タンパクや、p53、リン酸化p53(p-p53)の発現変化を調べた。さらに口腔正常組織、上皮異形成、扁平上皮癌を用いて各タンパク発現の局在変化を調べた。【方法】ウエスタンブロット法を用いて口腔癌由来培養細胞5種類(HSC2、HSC3、HSC4、SAS、Ca9-22)で、非変異p53発現細胞株を検索した。化学的DNA損傷実験にはアクチノマイシンDを用い、各細胞におけるアクチノマイシンDの適用濃度と、濃度依存性にp-p53の発現変化がみられる細胞株を調べた。その後、濃度一定とし、処理時間経過によるDNA-PKやATM/ATRの発現変化、Chk1やChk2の発駄リン酸化Chk1(p-Cれk1>やリン酸化Chk2(p-Chk2)、さらにp-p53の発現の違いを調べた。組織内局在変化には、口腔粘膜正常組織、上皮異形成、扁平上皮癌を用いて免疫染色で確認した。【結果】HSC4を用いたアクチノマイシンD処理後のDNA-PKの発現は、時問経過とともにDNA-PK分解産物が増加した。p-Chk1の発現は見られず、p-Chk2の発現はThr68、Ser19部位でのリン酸化が確認された。p-p53はー濃度依存性に発現が増強し、さらに時間経過とともに増加した。pAでM/ATRは時間経過、特に処理後6時間で発現が強くみられた。免疫染色でのP53の発現は、正常上皮組織の基底細胞、異形成や癌組織では上皮全層にみられた。培養細胞のP53のリン酸化部位はSer15が主であったが、組織ではSer20部位のリン酸化が多かった。p-Chk2の発現は上皮異形成から悪性になるに従い減少し、p53やp-p53の発現は増加する傾向がみられた。
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