研究課題
基盤研究(C)
我々が新規骨吸収因子として同定したγ-GTPは歯周炎などの炎症性骨破壊のリスク因子であるとする作業仮定を立て、その検証を行ってきた。当該研究期間(H17-19年度)において得られた成果は以下の通りである。1.炎症組織におけるγ-GTPの多くはCD45^+陽性B細胞、CD20^+陽性T細胞およびプラズマ細胞に局在した。2.ラット歯肉溝からγ-GTPを投与すると歯槽骨破壊が起こった。3.抗γ-GTPモノクローナル抗体を作製し、関節炎モデルマウスに投与した。炎症部位における破骨細胞数の減少と骨破壊の減弱が観察された。4.P.gingivalis(Pd)、T.denticola(Td)など、口腔内細菌18株のほとんどがγ-GTPを産生していた。5.まず、ピロリ菌γ-GTPを遺伝子組換え技術で精製し、骨髄培養系に添加した。ピロリ菌γ-GTPは強力な破骨細胞誘導活性を示した。6.歯周炎原因菌Tdの遺伝子組換え型γ-GTP(Td-γGTP)を作製し、同様の検討を行った。Td-γGTPには培養系における破骨細胞誘導活性は認められなかった。以上の結果から、歯周炎組織におけるリンパ球の産生するγ-GTPは明らかに歯槽骨破壊のリスク因子であり、治療の標的となりことが示された。さらに、細菌の産生するγ-GTPも同様の効果が確認された。Td-γGTPはヒトγ-GTPのアミノ酸配列に比べ、酵素活性部位以外の相同性が極めて低いことから、T.d.のγ-GTPには破骨細胞誘導活性ドメインが欠落している可能性が推察された。しかし、P.gingivalisなど他の細菌もγ-GTPを産生するので、それらのものについて検討することは病態理解に重要であると思われる。なお、これらの成果の一部は骨代謝関連の専門誌に掲載した。
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Journal of Bone and Mineral Research 22
ページ: 1933-1942
Endocrinology 148
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