研究課題/領域番号 |
17591933
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (90272822)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (00303131)
山田 好秋 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80115089)
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キーワード | 神経科学 / 咀嚼 / 大脳皮質 / 感覚 / 感覚認知 / 一次体性感覚野 / 口腔感覚 |
研究概要 |
本年度は、覚醒動物を用いたin vivo実験系で大脳皮質一次体性感覚野顔面・口腔領域(Face SI)から単一ニューロン活動を記録し、末梢刺激に対する応答が咀時に保たれるニューロンと著しく減弱されるニューロンそれぞれについて、末梢感覚受容野のブロックが咀嚼関連神経活動に及ぼす影響を調べた。実験に先立ち、神経活動記録と皮質内微小刺激を組み合わせた手法で脳の機能的マッピングを行ないFace SIを同定した。実験では口唇に感覚受容野を持ち、下歯槽神経への低強度単発電気刺激に応答するニューロンについて受容野への局所麻酔を行い、麻酔前後で安静時下歯槽神経電気刺激に対する応答が変わらず、かつ麻酔後には安静時受容野への機械刺激に対する応答が減弱された13個のニューロンについて麻酔前後で咀嚼時の活動様式を比較した。その結果、末梢刺激に対する応答が咀嚼時に保たれるニューロンの全て(6/6)の咀嚼関連活動が麻酔により著しく減弱したのに対し、咀嚼時に末梢刺激に対する応答が強く抑制されるニューロンの多く(5/7)では、受容野麻酔後も咀嚼関連活動に変化が認められなかった。以上より、1)Face SIニューロンには咀嚼時に感覚上行路での体性感覚情報伝達が抑制される(Somatosensory Gating)タイプとSomatosensory Gatingが作動しにくいニューロンの2種類が存在すること2)大脳皮質体性感覚野には咀嚼時に末梢の感覚受容器に加えられた刺激ではなく他の脳部位からの入力によって活動するニューロンが存在することが明らかになった。これらの事実から、咀嚼時の大脳皮質一次体性感覚野の神経活動は運動に伴う末梢への感覚刺激を単純に反映しているわけではなく、例えば咀嚼行動開始前の視覚などに基づく食物認知や運動指令系からのコピー情報などの影響を受けていることが示唆された。
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