研究課題/領域番号 |
17591943
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大西 智和 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30244247)
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研究分担者 |
松口 徹也 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10303629)
柿元 協子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40274849)
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キーワード | 口腔癌 / TLR / MyD88 / HGF / c-met |
研究概要 |
本研究では口腔細菌のTLR-4を介した免疫反応が口腔内の癌化と深く関わっていると考え、TLR-4の必須のシグナル伝達分子であるMyD88に注目し、口腔癌発生との関わりを検討した。 MyD88ノックアウトマウスを交配によって繁殖させ、PCR法によりMyD88ノックアウトマウスであることを確認した。そして発癌剤をMyD88ノックアウトマウスに数週間飲料水として飲ませた。肉眼的に口腔内の腫瘍の発生を観察したところ、コントロールマウスでは現れる舌辺縁部の癌形成はMyD88ノックアウトマウスにおいて認められなかった。そして舌を取り出しヘマトキシリン・エオジン染色にて観察したところ、異形成を伴った前癌病変さえも認められなかった。このことから、MyD88は舌癌形成に必要であることが示唆された。 次に舌癌で上昇が認められる肝細胞増殖因子HGFのシグナルとMyD88の関係を検討するため、発癌剤で処理をしたMyD88ノックアウトマウスの舌からmRNAを採取し、癌原遺伝子でありHGFの受容体でもあるc-metの誘導、及びHGFの発現を検討した。その結果、それらの増加は認められなかった。このことからMyD88は舌癌におけるHGFのシグナルと深く関わっていることが判明した。そこでMyD88ノックアウトマウスではHGFの産生が増強しない理由を、口腔内常在菌がHGFの産生増強する際に、MyD88が必要との仮説を立てた。すなわちMyD88ノックアウトマウスから線維芽細胞を培養し、細菌刺激によって増強するHGFの産生増強の変化を調べたところ、MyD88ノックアウトマウスの線維芽細胞ではHGF産生が上昇しなかった。以上の結果から、MyD88はHGFシグナルを介して舌癌増殖を促しているものと考えられる。
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