研究課題/領域番号 |
17591944
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
本田 栄子 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (00047812)
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研究分担者 |
稲永 清敏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (40316154)
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キーワード | 脳弓下器官 / ノルアドレナリン / パッチクランプ / ラット / フェニレフリン / アドレナリン受容体 / 抑制性シナプス後電流 / コンダクタンス |
研究概要 |
精神的ストレス状態に陥ったときに渇きを覚える。交感神経系の緊張は中枢性に延髄のA1,A2領野からカテコールアミン性線維によって脳弓下器官(SFO)に伝えられる。交感神経緊張による唾液は粘稠で少量分泌されるために渇きを覚えるとされているが、中枢性に作用するノルアドレナリン(NA)も渇きの中枢(SFO)などに作用し唾液分泌などの調節に関与しているのではないか。しかし、NAの脳弓下器官(SFO)ニューロンへの作用やその作用がNAのどの受容体を介しているかについて知られていない。従って、これらの問題について調べるためにラット脳スライス標本を用いパッチクランプ法によりNAやそのアナログのSFOニューロンにおける作用について調べた。膜電流固定法では、10〜100μMのNAの添加によって27例中17例、63%のニューロンが脱分極、6例、22%のニューロンが過分極反応を示した。膜電位固定法では、1〜100μMのNAの添加によって61例中42例、69%のニューロンが内向き電流、14例、23%のニューロンが外向き電流を発生した。これらの電流はテトロドトキシン存在下でも観察された。内向き電流を発生した37例のニューロンのうち28例において、NA添加中、ランプ波刺激や過分極パルス刺激によって、膜コンダクタンスの変化が認められなかった。同様な現象はα1アドレナリン受容体のアゴニストであるフェニレフリンによっても観察された。また、フェニレフリンによる内向き電流はα1アドレナリン受容体のアンタゴニストであるプラゾシンによってほぼ完全に抑制された。α2アドレナリン受容体のアゴニストであるクロニジンにより、抑制性シナプス電流の頻度が減少したが、振幅の分布には変化がなかった。従って、SFOにおいて、NAはシナプス前ではα1受容体を介し、シナプス後膜についてはα2受容体を介してその興奮性を修飾していると考えられた。
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