研究概要 |
1.唾液腺細胞におけるIP_3の細胞内動態を解析するために、FRETを応用したIP_3感受性蛍光センサーLIBRAのリンカー部位の最適化を行った。蛍光ドナーであるCFPとIP_3受容体の結合ドメインを繋ぐリンカー部位をアミノ酸10個からなるαヘリックス構造あるいはアミノ酸3個からなる最短構造にしたところ、蛍光変化率が有意に増大した。蛍光アクセプターであるYFPとIP_3結合ドメインとを繋ぐリンカー部位は直鎖状にした場合のみ蛍光変化率が増大した。 2.円順列変異(circular permutation)蛍光蛋白質を用いてFRETドナーとアクセプターの相対的な位置関係の改変を試みた。LIBRAのCFPおよびVenusをそれぞれの円順列変異体に置換し、CFPとVenusの50,157,173,195,229番目のアミノ酸を新たなN末端とする改変体を作成した。 3.改変したLIBRAを培養細胞に発現させ、サポニン処理後IP_3刺激による蛍光変化(CFP/Venus)を測定した。円順列変異体を用いた3種類の改変体において約40%の蛍光変化率の増大が認められた。 4.唾液腺導管細胞のカルシウム応答を多光子レーザー顕微鏡を用いて可視化し、アゴニストに対する感受性を調べた。その結果、導管細胞には低濃度のエピネフリンに反応する高感受性細胞が存在することが明らかになった。また、低濃度のフェニレフリン、カルバコール、ATPはそれぞれ異なる細胞を活性化することがわかった。 5.改変LIBRAを唾液腺培養細胞に発現させ、アゴニスト刺激によるIP_3産生をモニターした。IP_3産生とカルシウム応答との相関性について調べた。
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