研究課題/領域番号 |
17591956
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80126325)
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研究分担者 |
新井 通次 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (20097538)
小畑 孝二 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (40378229)
蛭川 幸史 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤助教 (60340147)
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キーワード | 骨芽細胞 / 神経細胞 / 共培養 / 細胞内カルシウム / サソリ毒 / シナプス |
研究概要 |
骨代謝における交感神経系の役割に注目しているが、神経細胞と骨芽細胞との直接的な機能的相互作用に関する知見は未だ得られていない。そこで、神経細胞と骨芽細胞をin vitroで共培養し、神経細胞を興奮させて神経伝達物質の分泌を促した際に骨芽細胞に生じる細胞内カルシウム濃度の変化を観察して、両細胞間の直接的かつ機能的な相互作用について検討した。すなわち、マウス新生仔の上頸神経節より神経細胞を酵素処理にて単離し、NGFを加えたF-12培養液にて24時間培養した。神経軸索の伸長を確認後、マウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞であるMC3T3-E1を神経細胞に接着させることで共培養を行った。共培養開始48時間後、蛍光カルシウム指示薬であるFluo-3を負荷し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて両細胞の経時的な細胞内カルシウム濃度[Ca^<2+>]iの変化を観察した。また神経細胞を特異的に刺激する薬剤としてサソリ毒(Scorpionvenom)を用いた。その結果、サソリ毒(5ng/ml)添加は、神経細胞における一過性の[Ca^<2+>]i上昇と、その後僅かな時間差をもってMC3T3-E1においても一過性の[Ca^<2+>]i上昇を示した。α1-アドレナリン受容体拮抗薬prazosinの前処理は、神経細胞の[Ca^<2+>]i上昇には影響を及ぼさなかったが、MC3T3-E1における[Ca^<2+>]i上昇を顕著に抑制した。また、MC3T3-E1単独培養下にて、サソリ毒添加は[Ca^<2+>]i上昇を示さなかったが、α-アドレナリン作動薬phenylephrineは一過性の[Ca^<2+>]i上昇を示した。これらの結果から、神経細胞と骨芽細胞の共培養下において、サソリ毒は神経細胞を興奮させノルアドレナリンの放出を促し、骨芽細胞のα1-アドレナリン受容体を介して[Ca^<2+>]i上昇を惹起することが示唆された。すなわち、共培養実験系において、神経細胞と骨芽細胞によるα-アドレナリン受容体を介した機能的な相互作用の存在を示した。この知見は、in vitroの知見であるが、直接的に神経細胞と骨芽細胞の機能的関連を示したものである。機能的な接続を示した、初めての研究である。
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