研究課題/領域番号 |
17591957
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
鍛治屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (80177378)
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研究分担者 |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
自見 英治郎 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (40276598)
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60153938)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨吸収 / クロライドチャネル |
研究概要 |
【目的】ClC7型Cl^-チャネル(ClCN7)は破骨細胞の波状縁に発現しHCl分泌による骨ミネラル溶解に必須なチャネルであり、ClCN7KOマウスでは大理石病を呈することが報告されている。最近、常染色体優性大理石病type II(ADO II)の原因遺伝子がこのClCN7の近傍(8.4cM)に位置すること、さらに全てのADO II患者にClCN7の点変異が認められることが報告された。しかしながら、ADO IIには7ヶ所の異なる点変異が認められ、これらの点変異によりClC7型Cl^-チャネルの機能異常がおこるかどうか、又どの位置の変異がADO IIの原因になり得るか明らかでない。そこで、本研究はClCN7の点変異体内、どの位置の変異がCl^-分泌能を変化させるか検討した。 【方法】マウス破骨細胞に発現するClCN7をPCRクローニングし、これを正常体としてADO IIに認められた点変異体を作成した。又、ヒト破骨細胞由来のcDNAライブラリー(Dr.Reddyより供与)より同様にClCN7をクローニングした。これらを組み込んだベクターをHEK293細胞にトランスフェクションした後、ClC7型Cl^-チャネルタンパク質の発現を確認すると共に、各々の点変異体のCl^-電流を正常体発現細胞と比較した。 【結果と考察】ClCN7を発現したHEK293細胞では細胞外を酸性化(pH6.5以下)にするとCl^-電流が活性化された。この電流はMockではほとんど認められなかったが、電流量はチャネルタンパクの発現量に比例して増加した。この電流は、外向き整流性、Ca^<2+>非依存性、陰イオン透過性(Cl^->=Br^->>guluconate^-)の性質を有し、他のClC型Cl^-チャネルと異なっていた。さらに、7ヶ所の点変異体全てにおいてCl^-電流が抑制された。この中でG215Rの点変異により最も電流の抑制が認められた。 以上の結果から、破骨細胞に発現するClC7型Cl^-チャネルは酸性条件化で活性化され、この点変異はCl^-分泌抑制を誘発し、このことは常染色体優性大理石骨病typeIIの原因となり得ると考えられた。
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