研究課題
[症例]口腔領域悪性腫瘍症例。[方法](PET)検査の6時間前より絶食し、食事性血糖値の上昇を抑制する。3.7MBq/KgのFDGを静注し、60分後に撮像する。(放射性コロイド)37MBqの放射性コロイドを頬粘膜、耳介後部皮下に投与し、3時間後に検査する。(組織標本染色)原発巣と所属リンパ節の組織標本のFDG輸送蛋白の染色を行なう。[評価](PET)視覚的な集積度の評価と半定量的な集積度の評価(SUV値:病巣へのFDGの集積度)を行なう。(放射性コロイド)視覚的な集積パターンの評価とダイナミックカーブの評価を行う。(組織標本染色)組織標本のHE染色、FDG輸送蛋白の染色度を視覚的に評価する。[結果](PET)原発巣の視覚的評価では前年度の結果と合わせて、約70%の検出率であったが、大きさによる影響がかなりみられた。リンパ節の視覚的評価では前年度と合わせて約70%の検出率であった。リンパ節では大きさの影響が大きく、小サイズリンパ節の検出は5%以下であった。SUV値では原発巣におけるSUV値は中等度以上のサイズのものでは、ほとんどの症例で10以上を示した。リンパ節では平均5.6であった。原発巣とリンパ節のいずれもSUV値は広い分布を示した。(放射性コロイド)放射性コロイドでは欠損像、腫大像、数珠状像、縄状像などが異常像として示された。病理所見との比較ではほぼ病態を反映していた。(組織標本染色)原発巣とリンパ節のいずれもほとんどの症例で中等度以上の染色がみられた。(考察)PETにおける集積度と輸送蛋白染色度では原発巣とリンパ節のいずれもほぼ相関がみられた。放射性コロイドの集積像でもPETの集積度、組織標本所見とほぼ相関を示した。今後、これらのデータを詳細に解析して、微小転移リンパ節検出の可能性を探る。