研究課題/領域番号 |
17591976
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
外山 三智雄 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (00217564)
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研究分担者 |
那須 優則 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (50130688)
佐々木 善彦 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (70257054)
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キーワード | 血管新生促進剤 / ラット顎下腺 / 放射線照射 / 血管障害 / マイクロフォーカスCT / microangiography |
研究概要 |
目的:血管新生促進剤VEGFを用いた障害唾液腺に対する再生に対する有効性を明らかにする目的で、放射線照射により障害されたラット顎下腺を用いて顎下腺内血管への影響の評価、照射後の顎下腺内血管の回復状況について検討した。対象:実験動物は6週齢Wister系ラット16匹(約100-120g)を用いた。対象臓器は顎下腺とした。方法:1週間の予備飼育後、ラット顎下腺に以下の投与量の放射線照射を行った。放射線照射は3MeVの直線加速器を用いた。照射方法はラットを仰臥位にして顎下腺が上になるように固定し、顎下腺をtarget volumeにした前方一門照射で15Gy照射した。この照射量は前年度の実験にて、顎下腺に対する放射線障害およびその回復に関する適正投与量は15-20Gyと思われたので、採用した。照射直後に血管新生促進剤VEGF-A(クラボウ社製)を0.166μg(0.332μg/ml)、0.332μg(0.664μg/ml)の2種類の投与量で、それぞれ5匹計10匹の両側の顎下腺周囲4箇所に直接注射により投与した(VEGF投与群)。VEGF投与しなかった6匹(非投与群)と比較した。照射投与7日後、14日後、30日後に、非イオン性造影剤を尾静脈から注入後に屠殺し顎下腺を摘出し、マイクロフォーカスCTおよび墨汁法によるmicroangiography、組織標本作成を行い、血管網を評価(面積当たりの血管数)した。結果:1)非VEGF投与群は、血管数が残存する傾向がみられたが、両者の間に有意な差はなかった。2)0.166μg投与群と0.332μg投与群では有意な差はみられなかった。まとめ:VEGF投与は障害された顎下腺の回復を促進する傾向がみられたが、統計学的な裏付けは得られなかった。この結果を踏まえ、VEGFの効果を引き出すには、VEGFの投与量、投与時期、投与方法について、今後も動物実験を行って確実な効果を得る方法を検討することが必要と思われた。
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