研究概要 |
口腔扁平上皮癌において転移性頚部リンパ節の短径を,原発部位および頚部レベル毎に検討した.頚部郭清術が施行され頚部リンパ節転移が確認できた36例(45頚部)を対象とした.頚部レベルはSomらの基準(2000,AJR)を参照した.リンパ節の短径はCT画像上で計測した.舌癌11例(14頚部)のうち,7頚部はレベルIIを含む領域に,3頚部はIBを含む領域に,1頚部はIII以降に,残り3頚部は舌骨外側部(顎下リンパ節よりも下方深側で,顎二腹筋や舌骨舌筋よりも下方,頚動脈よりも前方の領域)にリンパ節転移がみられた.上顎歯肉癌6例(8頚部)および下顎歯肉癌7例(8頚部)はレベルIIかつ/あるいはIBに,口腔底癌3例(5頚部)および頬粘膜癌9例(9頚部)はIBを含む領域にリンパ節転移がみられた.転移性頚部リンパ節の短径はmedian 9mm(3mm〜30mmであった.原発部位毎に頚部リンパ節の短径を検討した結果,舌癌では短径median 9.5mm,上顎歯肉癌10mm,下顎歯肉癌12mm,口腔底癌7.5mm,頬粘膜癌6.5mmであり,原発部位による群間に短径の有意差はみられなかった.頚部レベル毎にリンパ節短径を検討した結果,レベルIAでは短径median 6mm,IB 10mm,II 10mm,III 6mm,IV 5mmであり,頚部レベルによる群間に短径の有意差はみられなかった. 次に口腔扁平上皮癌患者10例においてFDG-PETによる頚部リンパ節の診断能を検討した.PETの集積はSUV(Standardized Uptake Value)により評価した.リンパ節短径はMR画像上で計測した.転移・非転移の評価は病理組織結果によった。PETによる頚部リンパ節の検出率は転移リンパ節において74%,非転移リンパ節では23%であった。SUVは転移リンパ節において平均5.6,非転移リンパ節では2.4であり、両群のSUVに有意差を認めた。SUVのしきい値を3とした時,sensitivity 76%,specificity 72%,accuracy 75%であった.短径15mm以上のものはすべて陽性であり,短径10mm未満のものでもSUVが高値を示すものは陽性であった.MR画像上central necrosisを認めるものは短径が小さくてもSUV高値を示した.
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