研究課題/領域番号 |
17591982
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 洋子 (岩松 洋子) 東北大学, 病院, 助手 (50261524)
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研究分担者 |
平田 政嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70312593)
金田一 孝二 東北大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (10010092)
小松 正志 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (10005069)
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キーワード | ティッシュエンジニアリング / 歯根修復 / 歯根膜 / セメント質 / コラーゲン / ポリ乳酸 / ポリグリコール酸 / 組織学的観察 / 細胞接着 |
研究概要 |
本研究はティッシュエンジニアリングを応用した新しい歯根修復材料の開発を目的としている。すなわち、従来の歯根修復は欠損部の補填にとどまっていたが、生体材料と歯根膜由来細胞を用いることで歯根膜組織ならびにセメント質を有する歯根修復を目指している。本年度は、生体吸収性材料上での歯根膜由来線維芽細胞の動態、ならびに、ラットに形成された歯周組織欠損部に材料を移植したときの組織学的観察を行い、以下の結果を得た。 1.コラーゲン、ポリ乳酸/ポリグリコール酸上で歯根膜由来線維芽細胞を培養したところ、培養初期において、親水性であるコラーゲン上に良好に細胞が接着したのに対し、疎水性のポリ乳酸/ポリグリコール酸上では接着細胞数は有意に少なかった。この時期、ポリ乳酸/ポリグリコール酸上のフィブロネクチン量は多かった。3週間以上培養すると、両者の細胞数、フィブロネクチン量、ALPase活性ならびに石灰化結節形成が同等であった。 2.架橋のあるコラーゲンスポンジとないコラーゲンスポンジにおける歯根膜由来線維芽細胞の動態を観察したところ、架橋のないものでは細胞が表層のみに存在し紡錐形を呈したが、架橋のあるものは培養初期ですでにスポンジ内部まで細胞が侵入しており細胞の形態は球形を呈していた。 3.架橋の異なるコラーゲンスポンジを、ラット下顎骨に実験的に形成された骨-歯根膜-セメント質-象牙質に達する歯周組織欠損部に移植して再生過程を組織学的に観察したところ、架橋のないものの治癒が早かった。その際、再生された歯根膜腔の幅は一定に保たれ、欠損部に面する象牙質表面にはセメント質の形成が見られた。架橋のあるコラーゲンスポンジを移植した群では、治癒するまでの期間が長かった。歯根膜ならびにセメント質の治癒は架橋のないものと同様であったが、吸収過程にあるコラーゲンスポンジ周囲に炎症性反応が顕著に見られた。また、新生骨量が架橋のないものに比べて顕著に多かった。
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